介護の現場では、朝に考えていた段取りのまま一日が進むとは限りません。
予定していた仕事に取りかかっている途中で、別の対応が必要になることもあります。そんなとき、頭の中で「あれも、これも」と仕事が重なり、何から手をつければよいのか迷うことがあります。
特養で看護師として働く私も、優先順位について考えることがあります。ただ、現場にはそれぞれの状況があり、「この順番でやれば大丈夫」と一つの答えにまとめることはできません。
今回は、急な変更が重なったときに、私が大切にしたい考え方を書いてみます。
「全部急ぎ」に見えるとき
急な依頼が続くと、どれも今すぐ対応しなければならないように感じます。
けれども、仕事の内容は同じではありません。まず状態や安全を確かめる必要があることもあれば、関係者に状況を伝えてから進められることもあります。少し時間を置ける仕事もあるかもしれません。
ここで難しいのは、机の上の予定表だけでは判断できないことです。本人の様子、その場にいる職員の状況、すでに進んでいる対応などによって、必要な動きは変わります。
私は、予定が崩れたこと自体を失敗と考えないようにしたいと思っています。予定どおりに進めることより、その時点で何を優先するかを考え直すことが大切な場合もあるからです。
まず、何を確かめるか
慌ただしいときほど、目の前の依頼にすぐ返事をして、次へ進みたくなります。
でも、情報が足りないまま「わかりました」と引き受けると、あとで判断に迷うことがあります。私は、必要なときには一度立ち止まり、今わかっていることと、まだわからないことを分けて考えたいです。
たとえば、急ぎとされている理由は何か。本人の状態について、誰が何を確認しているのか。すでに対応している人はいるのか。そうした点を確かめることで、自分だけで動くべきなのか、誰かに相談すべきなのかが見えやすくなります。
もちろん、確認に時間をかければよいという意味ではありません。速やかな対応が必要と考えられる場面では、所属施設の手順に沿って動き、必要な人へすぐに伝えることが大切です。判断に迷うときも、一人で抱えず相談したいと思います。
一人の優先順位にしない
現場では、看護職と介護職で見えているものが違うことがあります。私は、その違いを「どちらが正しいか」で片づけたくありません。
本人の普段の過ごし方に気づいている人がいる一方で、体調面について確認したいことを持つ人もいます。それぞれが知っていることを出し合って、対応を考える必要があります。
「こちらを先にします」と伝えるだけでなく、「いま何を確認しているか」「ほかに急ぐことはないか」を共有できれば、周りも動きやすくなるかもしれません。自分には見えていなかったことを、別の職員が教えてくれることもあるでしょう。
忙しいときほど、相談する時間さえ惜しく感じます。それでも、優先順位を一人の頭の中だけに置かないことは、私が大切にしたい姿勢です。
後回しにした仕事も忘れない
何かを優先するということは、別の何かを後に回すということでもあります。
その判断が必要だったとしても、後に回した仕事が消えるわけではありません。誰が、いつ、何を確認するのか。引き継ぎが必要なのか。そこまで考えておかないと、落ち着いたあとに抜けが生じるかもしれません。
また、待ってもらう人がいる場合には、説明できる範囲で状況を伝えることも大切だと思います。「後で」と言われただけでは、待つ側には理由がわかりません。
ただし、現場にいる人だけの工夫で、すべてを補えるわけでもありません。変更が重なるたびに誰かが無理をしているなら、仕事の進め方や人手の状況について、職場で考える必要があります。
迷いを残したまま、考え続ける
優先順位を決めることは、仕事を手早く片づけるためだけのものではないと思います。本人にとって何が必要かを考え、職員同士で情報をつなぎ、その日の状況に合わせて動くためのものです。
一方で、振り返っても「あのとき別の動き方があっただろうか」と迷うことはあります。私は、その迷いをすぐに正解・不正解で整理しなくてもよいと思っています。
忙しさに押されると、立ち止まって考えること自体が難しくなります。だからこそ、気になったことを言える関係や、あとから振り返れる時間も大切にしたいです。
予定が変わった日に、何もかも思いどおりに進めることはできません。それでも、「全部急ぎ」と抱え込む前に、確かめること、相談すること、後につなぐことを忘れない。私はそんなふうに、現場での優先順位を考えていきたいです。


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