特養の処方箋づくりを、看護師が引き受け続ける前提にしない

施設看護

本当は、医師に書いてもらいたいと思っています

本当は、処方箋は医師に書いてもらいたいと思っています。

けれど、限られた診療時間には、入所者の状態の報告や治療の相談、記録の確認、書類への対応が重なります。結果として、処方箋の入力は看護師が引き受ける。その流れが続いています。

特別養護老人ホームで看護師をしている、あんぶです。

私が関わる現場にも、医師の指示を受け、看護師が処方箋を記入している実情があります。

私は、記入の補助を一切したくないのではありません。診療に必要な仕事を、施設看護師が引き受け続ける前提にしないでほしいのです。

医師の忙しさも、施設で診療する時間の制約も、軽く考えたくはありません。それでも、その時間に収まらない仕事を、看護師が埋め続ければよいとは思えません。

「できている」ことと「このままでよい」ことは違います

医師が不在の間に受けた点滴や投薬などの指示について、カルテへ転記する作業があります。診療の際には、その確認に加え、意見書などの書類や、日々の状態についての相談もあります。

一つひとつは必要な仕事です。ただ、それらに時間を使う中で、処方箋の入力まで医師にお願いする余裕がなくなっていきます。

看護師が記入していることは、薬局側も把握しています。とはいえ、関係者が知っていることと、役割や確認の手順が十分に整理されていることは、別の話だと感じます。

処方箋が用意できれば、その日の仕事は終わります。

けれど、終わらせるために誰がどれだけ準備し、転記し、入力したのかは、出来上がった書類からは見えません。

私は、「なんとか回っている」を、続けてよい理由にはしたくありません。

引き受けている仕事の量も含めて、今の診療体制を振り返る必要があるのではないでしょうか。

記入できるかと、誰が担い続けるかは別の問題です

処方箋の記入については、法令上の整理も必要です。

厚生労働省の通知では、処方箋の作成責任は診察した医師が負う一方、医師が最終的に確認し署名することを条件に、事務職員が補助者として記載を代行することも可能とされています。mhlw.go

そのため、医師以外が記入したという理由だけで、一律に違法と説明するのは適切ではありません。一方、この通知だけで、特養の看護師によるどのような運用も認められるとは判断できません。mhlw.go

実際の適否は、指示の内容、記入の範囲、医師による確認や署名、発行の体制を整理して確かめる必要があります。

ここで私が分けて考えたいのは、一定の条件で記載の補助ができることと、その仕事を誰が担い続けるのがよいかということです。

医師が処方を判断する。その内容を補助者が記入する。医師が最終的に確認する。その責任の流れを明確にしたうえで、補助する人の負担も話し合ってほしいと思います。

「指示があるから」で、その先の検討を終わらせたくありません。

気になるのは、入力ツールの古さだけではありません

処方箋の作成には、長く使い続けている表計算ソフトの入力ツールを使用しています。

私は、嘱託医の医療機関で使っている電子カルテを、施設の入所者の診療にも活用できないかと考えています。しかし、入所者については紙カルテでの運用が続いています。

古いソフトだから直ちに危険、紙だから不適切、と言いたいわけではありません。電子カルテに変えれば、すべてが解決するとも思っていません。

私が確かめたいのは、使い続ける仕組みまで整っているかということです。

入力内容や書式を誰が点検するのか。修正が必要になったとき、誰に相談するのか。使い慣れた職員が不在でも、手順が分かるようになっているか。

入力する仕事だけでなく、仕組みを維持する仕事についても、担い手を確認したいところです。

転記する箇所や、入力・確認にかかる時間を整理することも、話し合いの手がかりになるでしょう。職員の速さを比べるのではなく、どこに仕事が重なっているかを見えるようにしたいのです。

相談した後、何を話し合えるでしょうか

こうした運用について医師に相談していますが、具体的な見直しにつながる返答は得られていません。

ただ、なぜ返答が進まないのか、その事情までは私には分かりません。だからこそ、不満だけで終わらせず、何を決めたいのかを整理する必要もあると感じています。

処方内容の決定から入力、確認、交付までを誰が担うのか。診療時間に収まらない記録や書類への対応をどう分担するのか。すぐに変えられないなら、何から見直し、いつ再検討するのか。

私は、そこまで話し合いたいと思っています。

医療機関の事務職員にも同行してもらえたら、という希望もあります。もちろん、人員や費用、業務範囲を含めた検討になるでしょう。

それでも、施設看護師が入力する以外の方法を、最初から選択肢の外に置かないでほしいのです。施設管理者も交え、医療機関と施設の間で考える課題にしたいと思います。

必要な仕事だからこそ、担い方を決めてほしい

記録も、処方内容の確認も、入所者の診療を支える仕事です。私は、価値の低い仕事だとは思っていません。

ただ、必要な仕事だからこそ、誰がどのように担うのかを決めてほしいのです。

私には、食事や水分、排泄、眠りの記録を読み、いつもの様子と比べて確かめる時間も必要です。数字だけでは分からない痛みや飲みにくさ、本人の不安を聞き、医師や薬剤師へ伝えることも、後回しにしたくありません。

私が求めているのは、看護師が書類に一切触れない現場ではありません。

必要な補助をしながらも、不明点を確認でき、負担を伝えられ、分担を見直せる現場です。

すぐに運用が変わらなくても、引き受ける人がいることを、仕組みを変えなくてよい理由にはしたくありません。

注意書き

この記事は一般的な情報と筆者の経験をまとめたものです。
個別の対応は状態や背景によって異なるため、主治医や関係する専門職、
所属施設の手順に相談してください。

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