接種後にかかってきた電話
特養の現場で、帯状疱疹ワクチンの接種について、確認が足りていなかったことに気づきました。
きっかけは、接種に関わる医療機関からの電話でした。ある利用者さんの2回目の接種が、通常の接種間隔に達していない可能性がある。公費での費用処理ができない場合の扱いも確認したい、という内容でした。
電話を受けたとき、まず頭に浮かんだのは「どうして接種前に気づけなかったのだろう」という思いです。費用の話にも動揺しましたが、それ以上に、利用者さんに関わる大切な確認を見落としたことが重く感じられました。
その後、複数の予診票にも気になる点が見つかりました。2回目の接種なのに、初回の情報をもとに記入したと思われる箇所があり、前回の接種日も確認できる形になっていなかったのです。
予診票は、接種前の体調や接種歴などを確かめるための書類です。欄が埋まっていることと、内容が今回の接種に合っていることは違う。その当たり前のことを、私は十分に見られていませんでした。
まず、利用者さんの状態を確かめる
電話の後、私が最も気がかりだったのは利用者さんの状態です。費用や手続きのことも大切ですが、接種を受けた方に体調の変化がないかを、まず確かめなければと思いました。
確認した時点では、今回の接種による健康被害は認められていませんでした。嘱託医からは、この利用者さんについて3回目の接種は必要ないこと、引き続き経過観察を行うことが指示されました。
経過観察とは、体調や症状に変化がないか、続けて確認することです。「今は健康被害がない」と分かったことには、ひとまず胸をなで下ろしました。ただ、それで確認漏れがなかったことになるわけではありません。
また、3回目の接種は不要というのは、今回の利用者さんについての嘱託医の判断です。接種間隔が短かった場合に誰でも同じ対応になる、という意味ではありません。私たちは指示を共有し、利用者さんの状態を見ていく必要があります。
「見たつもり」だった
今回の確認漏れについて、私自身の責任はあると思っています。予診票を手にしたときに、「今回が何回目か」「前回はいつか」を立ち止まって確かめていれば、接種前に気づけたかもしれません。
一方で、誰か一人の記入ミスとして終わらせたくもありません。私には、前回の情報をもとに次の書類を用意するとき、前回と変わった項目を確かめる手順が弱かったように見えました。
書類がそろっている。予定も組まれている。関係者の間で話も進んでいる。そうした状況が重なると、私は「必要な確認は済んでいるはず」と思いやすくなります。けれど、整って見えることは、確認できていることと同じではありません。
看護師として見たつもりだった。その「つもり」を、今回は否定できませんでした。自分を責める気持ちはあります。でも、落ち込むだけでは、次の確認は変わらないとも感じています。
接種の判断と費用の扱い
今回、私を混乱させたのは「2か月」を単純な日数に置き換えて考えていたことです。2か月を一律に「8週間」と決めてよいわけではありません。接種間隔は、実際の日付に照らして確認する必要があります。
厚生労働省は、組換え帯状疱疹ワクチンの接種間隔を、原則として2か月以上と案内しています。ただし、免疫機能の低下などがあり、医師が早期の接種を必要と判断した場合には、1か月まで短縮できる場合があります。
一方で、「今回、追加の接種が必要か」という医学的な判断と、「公費で費用処理できるか」という手続き上の判断は、分けて考えなければなりません。
今回、嘱託医からは3回目の接種は必要ないとの指示がありました。しかし、そのことだけで費用の扱いまで決まるわけではありません。費用については、関係する担当者が接種記録や必要な条件を確認することになります。
私も、分からないことを急いで一つの結論にまとめないようにしたいです。利用者さんの状態、医師の判断、接種記録、費用の扱い。それぞれについて、確認すべき相手と内容を整理する必要があると感じました。
次に気づけるように
同じ見落としを減らすため、2回接種のワクチンでは、予診票を見るときに接種歴、前回の接種日、今回の予定日を一続きで確認したいです。「前回と同じはず」と思う欄ほど、今回の内容として読み直す必要があります。
あわせて、誰がどの段階で接種間隔を確認するのか、現場の手順も確かめたいと思います。私だけが次から気をつける、という対策では、忙しさや担当者の変更があったときに、また同じことが起きるかもしれません。
利用者さんに現時点で健康被害が認められていないことは、本当にありがたく感じています。それでも、接種前に気づけなかったことへの申し訳なさは残ります。簡単に「勉強になった」と片づけられる出来事ではありません。
自分の見落としから目をそらさず、利用者さんの状態を見守り、必要な確認を進める。そして、次は途中で立ち止まれる手順を考える。今の私にできるのは、その一つひとつだと思っています。
5. 注意書き
この記事は一般的な情報と筆者の経験をまとめたものです。個別の対応は状態や背景によって異なるため、主治医や関係する専門職、所属施設の手順に相談してください。


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