「NISA口座が約3,048万に」
こうした数字を見ると、自分も始めたほうがよいのか、今の積立額では少ないのかと、気持ちが動くことがあるかもしれません。
金融庁が2026年10月2日に公表した調査によると、同年6月末時点のNISA口座数は3,048万850口座でした。約3,048万口座という数字は、制度の利用状況を知る手がかりになります。fsa.go+1
ただ、私は、この数字を自分の投資額を決める理由にはしたくありません。
私が言いたいのは、投資額よりも、生活の土台と続けられる仕組みを先に考えることです。誰かと同じ速さで進むことより、自分の暮らしを壊さずに続けることを優先したいと考えています。
約3,048万口座から分かること、分からないこと
今回の口座数は、これまでに開設された総口座数から、金融機関変更に伴う変更前の口座や廃止口座を差し引いて集計されています。
一方で、口座数だけでは、それぞれの人が毎月いくら投資しているのか、生活に十分な備えがあるのか、値下がりにどう向き合っているのかまでは分かりません。
口座の数は、利益を得た人の数でもありません。まして、自分にとって適切な積立額を教えてくれる数字ではないでしょう。
NISAは、投資による利益を一定の条件で非課税にする制度です。損失を防いでくれる制度ではなく、NISAで購入した商品にも元本割れの可能性があります。
利用が広がっていることと、自分が今すぐ投資を始めるべきかどうかは、分けて考えたいところです。制度の詳細は最新の公的情報を確認してください。

投資に回す前に、お金を使う時期で分ける
私なら、投資先を考える前に、手元のお金を次のように整理します。
- 日々の生活費として使うお金
- 近いうちに使う予定があるお金
- 急な出費や収入の変化に備えるお金
- 当面使う予定がなく、投資に回せるお金
急な出費などに備えるお金が、いわゆる生活防衛資金です。私は、これを「投資に回さず余っているお金」とは考えません。困ったときに生活を支えるため、役割を持って置いておくお金です。
必要額を、誰にでも同じ金額や月数で当てはめるつもりはありません。収入の安定性、住居費、保険、働き方、扶養する人の有無などによって、備えたい範囲は違うはずです。
近いうちに使う予定のお金も、急な出費への備えとは別に確認したいところです。使う時期が決まっているのに、値動きの大きい資産に置いてしまうと、必要なときの価格によって使える金額が変わります。
現金を多く持つ人を、投資に消極的という理由だけで否定したくありません。住宅費や教育費を優先することにも、収入の変化に備えることにも、それぞれの事情があります。

積立額は、他人との比較ではなく家計から決める
金融庁も、資産形成の基本として、まず収入と支出を把握し、家計を管理することを挙げています。
積立額を決めるときには、通常の生活費だけでなく、毎月は発生しない支出も見ておきたいと思います。
たとえば、説明のための仮定として、年間12万円の支払い予定があるなら、月々に分けると1万円です。毎月の収支だけを見て「1万円余っている」と判断しても、そのお金にはすでに使い道があるかもしれません。
これは私の家計の数字ではなく、年間の支出を月々に置き直す例です。実際には支払時期や金額が変わるため、自分の予定に合わせた確認が必要になります。
投資額を増やす前には、使っていないサービス、目的のない支出、不要になった契約や手数料を見直す余地もあるでしょう。
とはいえ、食事や健康、学び、楽しみまで削ることを正解にはしたくありません。
私は、投資を続けるために、生活を削りすぎたくありません。
毎月積み立てられるかだけでなく、予定外の支出があっても暮らしに困らないか。その視点で金額を決めたいと考えています。

長期・積立・分散は、生活の備えと組み合わせる
投資に回せるお金が整理できたら、私は、広く分散された低コストのインデックス投資を土台として考えます。インデックス投資とは、市場の指数に連動する運用を目指す方法です。
長期は、短期の値動きだけで成果を判断せず、長い時間軸で持つこと。積立は、決まった金額を継続して投資すること。分散は、投資先を分け、特定の資産などへの偏りを抑えることです。金融庁も、これらを資産形成の基本として説明しています。
ただし、長く持てば必ず利益が出るわけでも、積立なら損をしないわけでもありません。分散によって値動きをある程度抑えることは期待できますが、元本保証にはなりません。fsa+1
だからこそ、投資の方法と同じくらい、投資に回すお金の性質が重要だと思います。
低コストを重視するのも、私の方針です。信託報酬という、投資信託を保有している間にかかる運用管理費用などを確認し、似た投資対象の商品なら費用も比べたいと考えています。
商品をたくさん持つことだけを、分散とは捉えないようにしたいところです。私は、商品の本数より、どこに投資しているのかを確かめることを優先します。

続け方を変えることも、自分のルールに入れる
積立を続けることは重視しています。それでも、最初に決めた金額を何があっても守ることとは違います。
収入や支出の見通しが変わったとき、生活の備えが薄くなったときには、積立額を減らしたり、一時的に止めたりする判断も、自分のルールに入れておきたいと思います。
見直す基準は、相場の見出しや他人の積立額ではなく、自分の暮らしの変化です。
一方で、私は、現金を持つ理由を確かめないまま、将来への備えをずっと先送りにすることにも納得しきれません。守るお金と、長く使わないお金を分けたうえで、後者をどう生かすかは考え続けたいところです。
約3,048万口座という数字は、自分の家計を見直すきっかけにはなります。でも、急ぐ理由にはしません。
私が守りたいのは、今の暮らしと、将来に選べる余地です。「みんながやっているから」という言葉で、生活の安心を後回しにする投資には慣れたくありません。

注意書き
投資判断は、ご自身の資産状況、収入、生活費、将来の支出、リスク許容度などに応じて行ってください。投資には元本割れの可能性があります。この記事は、特定の投資行動や金融商品・銘柄の購入、売却を勧めるものではありません。


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