日本のCPIを高配当株の目線で読む|「バリュー株の時代」と言い切らない理由

お金と将来への備え

日経平均が上がると、私の持っている日本の高配当株は下がる。日経平均が下がると、今度は上がる。最近の値動きを見ていると、そんな逆向きの動きが目につきます。

私はこれを、半導体に向かう資金の流れが表れているのだと受け止めています。そして同時に、「これからはバリュー株の時代なのか」という問いも浮かんできます。

「バリュー株の時代」と言い切らない理由

先に、私の考えを書いておきます。

私は、物価や金利の流れを「バリュー株の時代が来た」と一言でまとめることには乗れません。

バリュー株とは、利益や資産に比べて株価が割安と見られている銘柄のことです。高配当株もここに含まれることが多いでしょう。

私は、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)への積立と、日本の高配当株をコアにし、FANG+をサテライトとして組み合わせています。コアとは、投資の中心に置いている部分のことです。

つまり私の中には、半導体やテックの流れに乗りやすいものと、そこから外れやすいものが両方あります。だからこそ、どちらかの「時代」と決めてしまうと、自分の構成の半分を見誤るように感じるのです。

日本のCPI、9月分で2%を上回った

CPI(消費者物価指数)は、家計が買うモノやサービスの値段の動きを示す指標です。

10月23日に公表された2026年9月分の全国CPIは、前年同月比で総合が+2.1%、生鮮食品を除く総合(コア)が+2.1%、生鮮食品とエネルギーを除く総合(コアコア)が+2.4%でした。

8月分はそれぞれ+1.9%、+1.7%、+1.9%だったので、どれも伸びが大きくなっています。コアは、日銀が目標とする2%を上回りました。

中身を見ると、生鮮食品を除く食料が+2.9%と高く、エネルギーは−0.6%とマイナスのままです。電気代やガソリンが落ち着いている一方で、食品の値上がりが続いている、という形が見えてきます。

日銀は9月に政策金利を1.25%程度へ引き上げています。今回の結果が次の判断にどう影響するかは、まだ分かりません。私は、一か月の数字だけで金利の行方を決めつけないでおこうと思います。

半導体の資金と、日経平均の「中身」

日経平均とTOPIXの差を見る指標に「NT倍率」があります。日経平均をTOPIXで割った値で、高いほど日経平均だけが先に進んでいる状態を表します。

10月中旬には、このNT倍率が16倍前後と過去最高の水準にあると報じられました。

日経平均は株価の高い銘柄の影響を受けやすい仕組みで、AIや半導体関連が大きく動くと、指数も大きく振れやすくなります。

私の高配当株が逆向きに動いて見えるのは、この偏りと関係があるのかもしれません。ただ、これは私の実感であって、法則ではありません。両方が下がる日もあるはずです。

逆に動くことを前提にした安心は、少し危ういと感じます。

物価と金利は、高配当株の追い風か

物価が上がり、金利が上がる流れは、価格転嫁できる企業や、利ざやの改善が期待される銀行などには追い風だ、と説明されることがあります。

たしかに、そうした面はあるのでしょう。

一方で、金利が上がれば預金や国債の利回りも上がり、配当利回りの相対的な魅力は下がる可能性があります。コストの上昇で利益が圧迫され、減配する企業も出てくるかもしれません。

仮の数字で考えてみます。

現在の株価に対する配当利回りが3.5%の株を、課税口座で持っていたとします。配当には約20%の税金がかかるため、手取りの利回りは約2.8%です。

物価上昇率が9月の総合と同じ2.1%のまま1年続いたと仮定すると、物価を差し引いた上乗せは1%に届きません。NISA口座なら非課税ですが、それでも物価との差は大きくありません。

しかも、ここに株価の値動きは入っていません。配当を受け取っても、株価がそれ以上下がれば、トータルリターン(値上がり益と配当を合わせた収益)はマイナスになります。投資には元本割れの可能性があります。

私は、配当利回りの数字だけで、物価に負けていないと思い込みたくありません。

私がこれから確かめたいこと

物価が2%を超えた今、私が見ていきたいのは「どちらの時代か」ではありません。

持っている企業が、コストの上昇を価格に転嫁できているか。配当を続けられるだけの利益があるか。そして、日経平均の上下とは別に、自分の構成全体がどう動いているか。

日経平均が上がった日に落ち込み、下がった日にほっとする。そんな見方に、私は慣れたくありません。

「時代」という言葉は、判断を後押ししてくれるように聞こえます。だからこそ、物価と配当と企業の数字を、ひとつずつ自分で確かめていこうと思います。

注意書き

本記事は筆者個人の考えをまとめたもので、特定の投資行動や金融商品・銘柄の購入・売却を勧めるものではありません。投資には元本割れの可能性があります。投資判断は、ご自身の資産状況、収入、生活費、将来の支出、リスク許容度などに応じて行ってください。統計や税制の詳細は、最新の公的情報を確認してください。

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