物価高を嘆くだけで終わらせず、家計を一つ動かす

お金と将来への備え

値上げに気づいた、そのあとで

買い物をしていて、いつもの品物の値段に目が止まる。「また上がったのか」と思う。そんな小さなため息が、日々の暮らしに増えているのではないでしょうか。

物価高に腹が立つことも、不安になることもあります。必要なものまで高くなれば、家計を預かる人ほど気になるはずです。私は、その気持ちを「文句を言っても仕方がない」と片づけたくありません。

ただ、嘆いたあとに、自分の家計で変えられるところを一つ探すことはできます。私が言いたいのは、気合いで節約を続けよう、という話ではありません。値上げのたびに食費を削って耐える前に、暮らしを苦しくしにくい見直し方を探したいのです。

物価そのものを、私一人で下げることはできません。でも、何にいくら払っているかを確かめることはできる。そこから始めるほうが、漠然と不安を抱え続けるより、私には合っています。

まずは、毎月の支払いを見る

物価高への対策というと、安い食材を探したり、買い物を我慢したりすることを思い浮かべます。もちろん、それで無理なく支出を抑えられるなら、一つの方法です。

けれど私は、毎日の小さな買い物を責める前に、定期的な支払いを見たいと思います。あまり使っていないサービスはないか。通信や保険の内容は、今の自分に合っているか。契約したときには必要だったものも、暮らしが変われば見直す余地があります。

ここで大切なのは、安ければ何でもいいと決めないことです。通信費を抑えても、必要なときにつながりにくければ困ります。保険も、内容を理解しないまま「高いから」とやめるのは不安が残る。金額と、その支払いが果たしている役割を一緒に確かめたいのです。

家計を見直す行動は、大きな決断でなくていいと思います。まず明細を開く。使っていない契約を一つ確かめる。それだけでも、「何となく払っているお金」を自分で選び直すきっかけになります。

我慢を増やす前に、選び直せる支出を探したい。

将来への備えも、生活の上に置く

物価高をきっかけに、貯蓄や投資が気になり始める人もいると思います。私自身は、資産形成を長く続けるために、積立と分散を基本に考えています。

ただし、今の生活費を圧迫してまで投資額を守るべきだとは思いません。急な支出への備えや、日々必要なお金が先です。そのうえで余裕があるなら、将来のために回す。順番を逆にしないことが、私には重要です。

「一度決めた積立額を減らしたくない」という気持ちは分かります。続けてきたものを変えるのは、後退のように感じるかもしれません。それでも、家計が苦しい時期に金額を調整することは、失敗ではなく、暮らしに合わせた判断だと思います。

投資を始めれば物価高の悩みがすぐに解消する、という話でもありません。値動きがあり、元本割れの可能性もあります。だから私は、不安をあおられて急いで始めるより、まず家計の支出と必要な備えを確かめたいのです。

行動できない日を責めない

「変化に合わせて行動しよう」という言葉には、背中を押す力があります。私も、家計を見直すなら、知るだけで終わらずに一つ試してみたいと思います。

一方で、行動できない人は努力が足りない、と決めつけることには賛成できません。仕事や日々の用事で疲れているとき、支払いの明細を調べたり、契約を比べたりするのも負担です。そもそも、見直せる支出がほとんど残っていない家計もあるでしょう。

値上げの苦しさを、すべて個人の工夫で解決できるわけではありません。それでも、自分にできることがあるなら、無理のない範囲で手をつけたい。社会の状況に疑問を持つことと、自分の家計を見直すことは、どちらか一方を選ぶ話ではないはずです。

私なら、まず毎月の支払いを一つ確かめます。変えないと決めてもかまわない。その支出を自分が必要だと思って残すのなら、それも家計を見直した結果です。

物価高のなかで守りたいのは、節約した金額だけではありません。今日の食事や休息を削りすぎず、将来への不安も放置しないこと。値上げに慣れるとしても、「苦しいのは自分のやりくりが下手だから」と思い込むことには、私は慣れたくありません。

注意書き

この記事は筆者個人の家計と資産形成についての考えです。投資判断はご自身の収入や支出、必要な備えに応じて行ってください。投資には元本割れの可能性があります。

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