電気代が上がると聞くと、「どこを節約しようか」と考えます。積立をしている人なら、「投資に回すお金を減らしたほうがよいのだろうか」という迷いもあるでしょう。
私が言いたいのは、値上げのたびに積立を止めるより、まず固定費と生活防衛資金を見直したい、ということです。ただし、家計が赤字でも積立額を守る、という意味ではありません。
暮らしを守るための投資なのに、投資のために暮らしを削り続ける。その順番には、私は慣れたくありません。
11月の料金を、自分の家計に置き直す

2026年9月29日、電力大手10社が10月使用分、11月請求分の電気料金を公表しました。時事通信によると、標準家庭の料金は前月より835〜1,578円上がり、各社とも過去最高になると報じられています。
ただ、この金額がそのまま自分の請求額に上乗せされるわけではありません。
電力会社の公表するモデル料金には、契約や使用量の前提があります。例えば、九州電力の11月分は、従量電灯B、30A、月250kWhという条件で8,115円。前月との差は1,239円です。
今回の上昇は、政府の料金支援がなくなるだけでなく、燃料費の調整や、一部では電気を送る設備の利用料金の見直しも関係しています。北陸電力のモデル料金では、835円の増加のうち805円が支援終了、30円が燃料費調整によるものとされています。
だから私は、ニュースの金額だけで節約目標を決めたくありません。
直近の明細で使用量を確認し、契約先の11月分の案内と照らし合わせる。「料金が上がった」と「電気を多く使った」を分けて見るところから始めたいと考えています。支援や料金制度の詳細は、最新の公的情報と契約先の案内を確認してください。
食費や快適さを削る前に
負担が増えるのは、電気代だけではありません。
帝国データバンクの食品主要195社の調査では、10月の飲食料品の値上げは3,153品目。2026年の年間累計は、1〜12月の判明分で2万187品目です。すべてがすでに値上げされた数ではなく、今後の予定を含む点には注意が必要です。
総務省が9月18日に公表した8月の消費者物価指数では、総合指数は前年同月比1.9%上昇しました。ただし、全国の指数が、自分の生活費の増え方と一致するとは限りません。
こうした数字を見ると、食費や光熱費を一律に減らしたくなるかもしれません。それでも私は、食事や健康、必要な冷暖房まで、先に削る対象にはしたくありません。
まず確かめたいのは、使っていない定額サービス、利用状況に合わない通信契約、内容を説明できない引き落としです。保険も、安くすることだけを目的にせず、必要な保障と重複を確認したいところです。
電気の契約も、表示された単価だけでは決めません。基本料金や調整額、解約条件を含め、自分の使用量で比べたいと思います。
支出には、残したい理由のあるものと、理由が薄くなったものがあります。私は、後者から見直したいのです。
月の増加額を見える形にする

次に、値上げを「毎月いくら足りなくなるのか」に置き直します。
ここからの金額は、仕組みを考えるための仮定です。私の実際の家計でも、今回の値上げ額の予測でもありません。
仮に、電気代が月1,000円、食費と日用品が合わせて月2,000円増えたとします。
| 仮定の項目 | 月の金額 |
|---|---|
| 電気代の増加 | 1,000円 |
| 食費・日用品の増加 | 2,000円 |
| 支出増の合計 | 3,000円 |
| 不要な固定費の見直し | −1,000円 |
| 見直し後に残る負担増 | 2,000円 |
この状態が12か月続けば、残る負担増は年2万4,000円です。もちろん、電気の使用量も食品の買い方も変わるため、実際の支出が毎月一定になるわけではありません。
ここで確認したいのは、年間の金額の大きさだけではなく、積立後にも家計に余裕が残るかどうかです。
月の収支が黒字でも、税金や更新料、家電の買い替えなどが重なれば、現金は減ります。毎月の支出に加えて、近いうちに払うお金も並べる。私は、そのあとで積立額を考えたいと思っています。
備えと積立は、順番を分ける
生活防衛資金は、急な出費や収入減に備えて、すぐ使える形で確保しておくお金です。
必要額を「生活費の何か月分」という一つの数字で決めるつもりはありません。収入の安定性、住居費、保険、働き方、扶養する人の有無などで、必要な備えは違うでしょう。
また、支払う時期が分かっている教育費や修繕費は、急な出費への備えとは分けて考えたいところです。同じ現金でも、使い道が決まっていれば、自由に投資へ回せるお金ではありません。
私は、広く分散された低コストのインデックス投資を、資産形成の土台として重視しています。それでも、投資には元本割れの可能性があり、生活費の支払いを運用益に頼り切ることは避けたいと考えています。
固定費を見直しても赤字が続く、備えを毎月取り崩している、近い支払いのお金が足りない。そういう場合は、積立額の減額や一時停止も検討する必要があるでしょう。
積立を続けることと、同じ金額を守り続けることは別です。
一方で、家計に余裕と必要な備えがあるなら、値上げのニュースだけを理由に、将来への準備をすべて止める必要もないと私は考えています。
請求書の前に、見直す順番を決める

11月の請求書が届く前に、私が確認したい順番はシンプルです。
- 契約先の料金案内と、自分の使用量を確認する。
- 不要な固定費や、目的の分からない支出を整理する。
- 近く使うお金と、急な出費への備えを分ける。
- そのうえで、今の積立額を続けられるか考える。
見直しても、簡単には減らせない支出はあります。すでに工夫している人に、さらに我慢を求める話にはしたくありません。
私が守りたいのは、積立額という数字そのものではなく、今日の暮らしと将来への備えを両立できる仕組みです。
値上げのたびに投資を諦めることにも、投資のために生活の安心を削ることにも、私は慣れたくありません。請求書が届く前の今、その間にある選択肢を落ち着いて確かめたいと思います。
注意書き
投資判断は、ご自身の資産状況、収入、生活費、将来の支出、リスク許容度などに応じて行ってください。投資には元本割れの可能性があります。本文は、特定の投資行動や金融商品・銘柄の購入、売却を勧めるものではありません。


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