投資を始めた頃、私は正直、どっちつかずでした。
配当をもらって生活の足しにしたい気持ちと、将来のためにできるだけ資産を増やしたい気持ち。この二つは、実はちょっと方向性が違います。
配当を出す会社は、利益の一部を株主に配ってくれる分、会社の中に残すお金(内部留保)が減ります。一方で、配当をあまり出さずに利益を事業にどんどん再投資する会社は、将来大きく育つ可能性がある一方、今すぐの現金は入ってきません。
どちらも正解で、どちらも一長一短です。私は「じゃあ両方持てばいいのでは」という、ちょっと単純な発想に落ち着きました。
私が日本株で意識しているのは、配当という「今」のお金の流れです。
もともとは、株主優待が流行っていた時期に、楽しみの延長で少しだけ買ったのが最初でした。優待をもらうこと自体が目的で、正直、配当のことはそれほど深く考えていませんでした。
その後、今の暮らしを楽にしたいという気持ちが強くなり、優待目的から配当を重視する買い方に少しずつ切り替えました。高配当株を買い増ししていった結果、今は現物株と投資信託の比率がおよそ6対4になっています。この比率自体を目標にしていたわけではなく、キャッシュフローを増やしたいという目的を追いかけていたら、自然とこの形になった、という感覚です。
毎年配当をもらえると、資産が増えているかどうかを株価だけで判断しなくていいという安心感があります。株価が下がっている時期でも、配当が入ってくると「まだやっていける」と思える。これは数字だけの話ではなく、気持ちの余裕にも関わってくる部分だと感じています。
もらった配当は、再投資に回さずにそのまま使うようにしています。保有している株式と投資信託の評価額は、合わせて2,000万円台前半です。内訳は現物株がおよそ6割、投資信託がおよそ4割。日本株から受け取る配当は年間およそ34万円で、再投資せず生活費の一部に充てています。増やすことは米国投信の役割に任せて、日本株の配当は今の暮らしのために使う、という役割分担がはっきりした形です。
ただ、高配当株にもリスクはあります。業績が悪化すれば配当が減る(減配)こともありますし、一つの会社に集中すると、その会社の業績に生活が引っ張られてしまいます。だから私は、複数の会社に分けて持つことを意識しています。
一つだけ気をつけているのは、「配当利回りが高いから買う」という順番にしないことです。利回りが高く見える背景に、株価が下がっている理由がある場合もあるので、なぜ利回りが高いのかを一度立ち止まって考えるようにしています。
米国の投資信託については、配当よりも「増える力」に期待しています。
S&P500や米国全体に投資する指数は、これまで長期的に見ると年率で二桁近いリターンを重ねてきた実績があります。もちろんこれは過去の話で、将来も同じように増える保証はまったくありません。それでも、世界中から資金や人材が集まり、新しい技術や企業が次々に生まれてくる仕組みそのものに、長期で乗ってみたいと思っています。
米国の投信は配当(分配金)が出ないタイプを選んでいるので、利益がそのまま中で積み重なっていく感覚があります。これは日本の高配当株とは違う役割で、「今すぐ使うお金」ではなく「将来のためのお金」として、あまり日々の値動きを見ないようにしています。
毎月同じ金額を積み立てているのも、価格が高い時も安い時も自動的に買い続けることで、買うタイミングを自分で判断するストレスを減らすためです。相場が良い時も悪い時も、淡々と続けることを大事にしています。
もう一つ、後から気づいた効果があります。私の収入は日本円で入ってきますが、米国の投資信託はドルで運用されている資産です。円安になれば投信の円換算の価値は増えますし、円高になれば逆に目減りしますが、日々の生活は円の収入で成り立っているので、そこは直接の影響を受けません。円とドル、どちらに為替が振れても、どちらかが調整弁になってくれる感覚があり、これも結果的にリスクを分散できている理由の一つだと感じています。
日本株と米国投信を両方持つようになって感じたのは、「役割を分けると気持ちが楽になる」ということです。
配当が入ってくる日本株は、今の暮らしに近い距離にあります。米国投信は、今は使わないけれど将来のために置いておく、少し距離のあるお金です。この距離感の違いを自分の中で整理できたことで、株価が下がった時も「これは配当用だから」「これは将来用だから」と、慌てずに受け止められるようになりました。
もちろん、これが正解というわけではありません。人によっては、全部を米国株にまとめた方がシンプルで管理しやすいという考え方もありますし、日本株だけで配当を積み重ねていくという考え方もあります。私は自分の性格や生活スタイルに合わせて、この二本柱にたどり着いたというだけの話です。
正直に言うと、今でも「このバランスで本当にいいのか」と迷うことはあります。
日本株をもう少し増やすべきか、米国投信の積立額を上げるべきか。答えが一つに決まらないまま、今日もいつもと同じ金額を積み立てて、いつもと同じように配当の入金を確認しています。
きれいな結論を出すより、迷いながらでも続けていくことの方が、今の私には合っているのかもしれません。
※投資に関する内容は筆者個人の経験・考え方であり、特定の商品や銘柄の購入を推奨するものではありません。投資は自己判断・自己責任のもとで、余裕資金の範囲内で行ってください。


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