FANG+の下落で考えたいのは、売り時よりも資産配分

お金と将来への備え

下がった理由が分かっても、持ち続けられるとは限りません

AI関連株の下落について、「原油高が物価や金利を通じて、企業の資金調達への不安につながった」という説明を見かけました。

資金調達とは、企業が事業に必要なお金を用意することです。借入れや社債の発行などが、その方法にあたります。

値下がりに筋道があると分かると、ただ怖がっていたときよりも落ち着けるかもしれません。ただ、私はそこで一つ、分けて考えたいことがあります。

下落の理由が説明できることと、自分がその投資を持ち続けられることは、同じではありません。

私が先に確かめたいのは、次の決算で株価が戻るかではなく、資産配分です。資産配分とは、手元のお金を現金、株式、投資信託などに、どのような割合で分けて持つかということです。

理由が分かっても、値下がりによって近いうちに使うお金が足りなくなるなら、家計の問題は残ります。私は、納得できる解説を見つけることだけで、投資を続ける判断を済ませたくありません。

「金利」と「利回り」は、同じようで意味が違います

相場の解説では、出来事が一本の線でつながっていると理解しやすくなります。しかし、分かりやすい説明が、下落の原因をすべて説明しているとは限らないでしょう。

とくに注意したいのが、金利と利回りです。

金利は、お金を借りるときに支払う利息などの割合を指します。一方、利回りは、投じたお金に対して、どれくらいの収益が得られるかを見る割合です。債券では、受け取る利息だけでなく、買った価格と満期に返される金額との差も関わります。fidelity

社債は、企業がお金を借りるために発行する債券です。投資家にとっては、企業にお金を貸す仕組みと考えると分かりやすいかもしれません。

発行された社債は市場で売買され、価格が下がると利回りは上がるという関係があります。finra

ただし、すでに発行された固定金利の社債では、市場の利回りが上がっても、企業が支払う契約上の利息まで、その場で同じように増えるわけではありません。fidelity

私は「借金の負担が増える」という説明を読むときも、すでにある借金の話なのか、これからお金を借りる話なのかを確かめたいと思います。怖さを強める説明も、安心させる説明も、同じように立ち止まって受け止めたいのです。

商品を分けても、中身が分かれているとは限りません

次に見たいのは、保有商品の名前ではなく、その中身です。

投資信託は、多くの投資家から集めたお金をまとめ、株式や債券などで運用する商品です。ただ、複数の投資信託を持てば、自動的に十分な分散ができるわけではありません。investor

分散投資とは、投資先を分け、一つの投資先の不調が資産全体に与える影響を抑えようとする考え方です。同じ企業や分野への投資が重なっていれば、商品数を増やしても、期待した分散にならない場合があります。investor

FANG+、NASDAQ100、S&P500などの商品を組み合わせる場合も、名前が違うことだけで判断せず、中身を見たいところです。

確認に使えるのが、運用会社の月次資料です。「組入銘柄」は投資先の企業などを、「組入比率」はその投資先が商品全体に占める割合を表しています。

私が資産形成の土台として重視したいのは、広く分散された低コストのインデックス投資です。インデックス投資とは、市場などの値動きを示す「指数」に連動する運用を目指す方法を指します。

そのうえで特定分野への投資を加えるなら、中心となる資産とは分けた「サテライト」、つまり補助的な部分として、目的と上限を決めたいと考えています。

成長への期待を持つことまで否定したいわけではありません。ただ、期待の大きさだけで、配分を増やしたくはありません。

下落率だけでなく、家計に届く大きさを見る

同じ値下がりでも、家計への影響は保有割合によって変わります。

仮に、資産全体の10%を占める投資先が20%下落し、ほかの資産価格が変わらなかったとします。この場合、資産全体への影響は2%の下落です。

その投資先が全体の50%を占めていたなら、同じ条件で全体への影響は10%になります。

これは私の保有状況でも、将来予測でもありません。税金、手数料、為替の変動を考慮せず、配分の違いだけを見る仮定の計算です。為替の変動とは、円と外国のお金を交換する際の比率が変わることを指します。

ここで確かめたいのは、「何%下がったか」だけではなく、「その下落が、使う予定のお金にどこまで届くか」です。

生活に必要なお金、近いうちに使うお金、急な出費への備えを確保したうえで、残りをどう運用するか。急な出費や収入減に備えて確保するお金を、生活防衛資金と呼ぶこともあります。

必要額は、収入の安定性、住居費、保険、今後の支出などによって変わるため、一律には決められません。

私は、投資額を増やすために暮らしを削る前に、使っていないサービスや目的の曖昧な支出を見直したいと思います。食事や健康、楽しみに使うお金まで、投資のために小さくすることには慎重でありたいです。

積立を続けるためにも、配分は見直してよい

積立投資は、あらかじめ決めた金額を、定期的に投資していく方法です。金融庁も、長期・積立・分散を資産形成の基本として紹介する一方、株式や投資信託には元本割れのおそれがあると説明しています。元本割れとは、運用している資産の価値が、投じた金額を下回ることです。fsa.go

だからこそ、「積立なら何も考えなくてよい」とは受け止めていません。

積立額が生活を圧迫していないか。使う予定のお金を投資に回していないか。値上がりした分野への配分が、自分で決めた範囲を超えていないか。こうした確認は、積立を否定するものではなく、続け方を整えるためのものだと考えています。

現金を多く持つ人にも、積立額を抑える人にも、それぞれの事情があります。他人の投資額を、自分の家計の基準にする必要はないでしょう。

私は、短期の下落だけで投資方針を変えたくありません。一方で、持ち続けること自体を正しさの証明にするつもりもありません。

守りたいのは、相場に居続けたという実績ではなく、今日の暮らしと将来の選択肢です。

下落の理由を調べる。そのうえで、自分の配分と使う予定のお金に戻る。私は、生活の安心を削ることに慣れないまま、投資を続けていきたいと思います。

注意書き

投資判断は、ご自身の資産状況、収入、生活費、将来の支出、値動きに耐えられる範囲などに応じて行ってください。投資には元本割れの可能性があります。本文は、特定の投資行動や金融商品・銘柄の購入、売却を勧めるものではありません。

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