こどもNISAは、枠を埋める前に「誰の、いつのお金か」を決めたい

お金と将来への備え

夜、スマートフォンでニュースを見ていたら、「こどもNISA、事前申込スタート」という見出しが目に入りました。

子ども名義で、非課税で積み立てられる。始めるなら早いほうがいい。そんな言葉がいくつも並んでいて、少しだけ気持ちがざわつきました。

まだ制度が始まってもいないのに、もう出遅れているような感覚。私は、この焦りの正体を一度ちゃんと見ておきたいと思いました。

枠を埋める前に、決めておきたいこと

私が言いたいのは、こどもNISAの枠をどれだけ使うかより先に、「そのお金は誰のもので、いつ、何に使うお金なのか」を決めておきたい、ということです。

非課税は魅力的です。それは否定しません。

ただ、制度がよくできていることと、自分の家計にとって今それを使うべきかどうかは、別の話だと私は考えています。枠があるから埋める、という順番には乗れません。

制度の形を、まず落ち着いて見る

公表されている内容を整理すると、こどもNISAはおおむね次のような仕組みになる予定です。

  • 2027年から開始予定で、対象は0〜17歳
  • 子ども1人あたり年間60万円、合計600万円まで非課税で保有できる
  • 買えるのは、つみたて投資枠と同じ基準の投資信託で、積立のみ
  • 子どもが12歳以降になると、子どものための使い道であること、子ども本人の同意書面があることなどを条件に、払い出しができる
  • 18歳になると、本人の通常のNISA口座へ自動的に移る

投資信託とは、集めたお金を専門家がまとめて運用する商品のことです。

子どもが12歳を過ぎれば、条件付きで教育費に使える。この点は、以前のジュニアNISAより使いやすく感じます。

一方で、成人後のNISA枠との関係や、払い出しの手続きの細かい部分は、これから金融機関ごとの案内で確かめる必要がありそうです。制度の詳細は最新の公的情報を確認してください。

数字で見ると、分かることと分からないこと

仮に、生まれてから18年間、毎月1万円を積み立てたとします。

積み立てた元本は216万円です。

これが年率1%で推移したと仮定すると約237万円、3%なら約286万円、5%なら約349万円という計算になります。税金や手数料、途中の値動きは考えていない、単純な試算です。

時間が長いぶん、複利、つまり増えた分がさらに運用される効果を味方につけられる可能性はあります。

ただし、ここが大事なところだと思います。

この数字は、毎年同じ率で増え続けるという前提で出したものです。実際の相場はそうは動きません。元本を下回ることもあります。

そして教育費には、使う時期がほぼ決まっています。高校や大学の入学のタイミングがちょうど値下がりの時期と重なっても、入学金の支払いは待ってくれません。

12歳から払い出せるという仕組みは便利です。でも、「必要なときに必要な額があるか」は、制度では保証されません。

子ども名義のお金は、誰のものか

もう一つ、引っかかっていることがあります。

こどもNISAは子ども名義の口座です。親が管理していても、そのお金は子どものもの、という建て付けになります。

払い出しには子どもの同意が必要で、18歳になれば本人の口座に移ります。

これは、親が「やっぱり家計が苦しいから」と気軽に引き出せるお金ではない、ということでもあるでしょう。

また、親や祖父母が出したお金を子どもの口座に入れることは、税金の上では贈与として扱われる場合があります。名義だけ子どもで実際は親のお金とみなされると、贈与税の問題になる可能性もあると言われています。ここは税務署や専門家の情報で確かめたいところです。

だからこそ、私は入れる前に決めておきたいのです。

これは子どもが大人になってから使うお金なのか。それとも大学の入学金に充てる予定のお金なのか。

前者なら、長く値動きに付き合えるかもしれません。後者なら、近い時期に使うぶんまで値動きのある資産に置きすぎないほうが、私は安心できます。

親の土台が先、という考え方

たしかに、早く始めるほど積み立てる期間は長くなります。毎月少しずつでも始めたい、という気持ちはよく分かります。

それでも私は、子どものための積立を、親の生活防衛資金より先に置くことには慎重でいたいと思います。

生活防衛資金とは、急な出費や収入の減少に備えて手元に置く現金です。いくら必要かは、働き方や住居費、保険、近く使う予定のお金によって変わり、決まった正解はありません。

親の家計が崩れて、結果的に子どもの口座から引き出すことになれば、意味が逆になってしまいます。

私は、親の老後資金や教育費の現金を削ってまで、子ども名義の枠を埋めたいとは思いません。

こどもNISAを使わない、あるいは少額にとどめるという選択にも、それぞれの家庭の事情があります。それを準備不足のように見る空気には、慣れたくないと感じます。

私が守りたいもの

私がこどもNISAに期待しているのは、子どもが大人になったとき、「これはあなたのために続けてきたお金だよ」と手渡せる形です。

金額の大きさではなく、長く続けてきた時間ごと渡せること。そこに意味があるように思います。

そのためにも、まず自分の家計の足元を確かめる。近く使うお金と、長く置けるお金を分ける。そのうえで、続けられる額を決める。

非課税という言葉に背中を押されて、順番を逆にすることだけはしたくありません。

注意書き

投資判断は、ご自身の資産状況、収入、生活費、将来の支出、リスク許容度などに応じて行ってください。投資には元本割れの可能性があります。本文は、特定の投資行動や金融商品・銘柄の購入、売却を勧めるものではありません。こどもNISAは開始前の制度で、内容が変わる可能性があります。

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